2009年06月04日

バルサスの要塞

バルサスの要塞
【バルサスの要塞】

必要なものはサイコロ二個と鉛筆一本、消しゴム一つだ。
どの道を進みどの妖怪と戦い、どこで魔法を使うか?

決めるのは君だ。

要塞は暗い危険に満ちて無鉄砲な冒険者を待ち構えている。
だが君は潜入しなければならない。
狙うは要塞の奥深くたてこもっている恐怖の妖術使いバルサス・ダイア!


表紙カバーのそで部分に書かれている紹介文です。
なんだかワクワクしてきませんか?

さて、コンピュータのアドベンチャーゲームは映像・音楽があるせいか、文章があっさりしていることが多いです。
というよりも読みやすさを優先している感じがします。

一方、アドベンチャーゲームブックには音楽はありません。
絵に関しては挿絵があるので同じかもしれませんが、量は圧倒的に少ないです。
それを補っているのが文章です。

君は伏せて頭を覆う。ビンが君に当たる。また一本、また一本と――だが毛ほども感じない!
どういうことだ?

君は何がおきたのか悟る。酒になにか幻覚をおこさせる薬が入っていて、それでビンによる攻撃を想像したにちがいない。たちまちすべての音がやむ。顔を上げると、思ったとおり、ビンはどれももとどおり棚に納まっている。君は胸をなでおろして先へ進み、酒倉を出る。九五へ。

パッと開いたパラグラフではこんな感じ。
どうですか、イメージわいてきますよね?

私は、ゲームブックは本の『読む』という良さとゲームの面白さをマッチさせたモノだと思ってます。
コンピュータゲームの、映画のような美しさ・ダイナミックさといった「直観的に観る楽しさ」は少ないですが、光景を想う楽しさがあると思います。

いつものことながら、こういうことをやっちゃうと、また遊びたくなるんですよね。
本を読んでるフリをしつつ、通勤の時に読もうかな?

もちろん、サイコロは振れないので『無敵モード』でね。

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Posted by K'z at 12:30│Comments(2)出版物
この記事へのコメント
「怪物」や「モンスター」ではなく「妖怪」、
"Illusion"が「目くらまし」、"Weekness"が「骨抜き」、
などの独特の訳文もいい味出してますね。
いや、そもそも原題の"The Citadel of Chaos"(混沌の砦)を
「バルサスの要塞」としたところが大英断でしょうね。かっこいいです。

「バルサス」の初版発行は1985年。
まだ日本にファンタジー的世界観が普及してなくて、訳語に統一性がなかったという事情もありますが、それにしてもこの訳は自在で素晴らしい。

残念ながら訳者の浅羽莢子さんは2006年に亡くなられてしまいました。
ゲームブックだけでなく、彼女の訳したジョナサン・キャロルの小説とか、
私は大好きだったのですが・・・。合掌。
Posted by イムルール at 2009年06月07日 21:02
訳語のスバラシさには同意です。
ギリギリまで日本語に置き換えた時の表現力は特に。

ただ、最近親しみを覚える(?)のが漢数字による表記です。
縦書き表記のためアラビア数字ではなく漢数字で表記しているのですが、これがなんともノスタルジーを感じさせてくれます。
まあ、これに関しては、学生時代を想起させるためなんでしょうけど。

翻訳家の方、そうですか……。
記事を書いているとき、何気なく訳者略歴を見ていましたが。
そんなに年を召されていなかったはずです。

ゲーム業界(この方はちょっと違いますが)、なぜか若くして亡くなる方が多い印象を受けます。もっとも業界が若いから、どなたが亡くなっても若いのかもしれませんが。
Posted by K'zK'z at 2009年06月07日 23:27
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